データサイエンティストとAIエンジニアってどう違うの?年収や将来性の違いも知りたい。
近年のビッグデータ・AI活用の高まりから、データサイエンティストやAIエンジニアを目指す人が増えています。
しかし、データサイエンティストとAIエンジニアの違いを明確に理解している人は少ないでしょう。
そこで、当記事では、事業会社におけるDX推進の現場を知る立場から、両者の違いを初心者の方にも易しくお伝えしていきます。
年収や将来性の違いなど、DX推進の現場にいるからこその知見を元にしっかり解説します。
また、未経験からデータサイエンティスト、AIエンジニアを目指せるおすすめスクールの紹介もありますので、是非最後までお読みください。
【記事を書いた人】
☑️ 事業会社にてDX推進兼DX人材育成を担当2年以上
☑️ JDLA G検定・E資格を取得済
☑️ DX検定にてDXプロフェッショナルに認定
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データサイエンティストとAIエンジニアの違い
定義の違い
最初に身も蓋もないことを言いますが、こういった人材像の定義というのは、業界や業種、会社によって異なります。
しかし、「方向性の違い」は明確に存在しますので、その点をお伝えします。
重要なのは、それらを理解の上あなたのキャリアに活かすことです。
是非あなたのキャリアにマッチしそうな方を見つけて、次のアクションに繋げてください。
データサイエンスプロジェクトに関わる人材像は、データサイエンティストやAIエンジニアだけでなく、データエンジニアや、データアーキテクト、データアナリストなど多様に存在します。
しかし、そこまで掘り下げると話が複雑になってしまいますので、本記事ではよりシンプルにするために、2つの人材像に絞って解説していきます。
前置きが長くなりましたが、それでは、定義の違いの話に入っていきましょう。
各人材像の違いを一言で言うなら、それは各々のビジネスにおける「ゴール」です。
どちらも似たようなことを言っていますが、伝わりますかね?
データサイエンティストは「ビジネス課題解決」に、AIエンジニアは「AI開発」に重きを置いています。
従って、各人材の最終形態としては、データサイエンティストはビジネス人材(プロジェクトマネージャやコンサルタント)の意味合いが強く、AIエンジニアは技術人材(スペシャリスト)の意味合いが強くなります。
以上より
と言っても良いでしょう。
必要スキルの違い
何となく定義の違いは分かってきたけど、それなら必要なスキルはどれくらい違うの?
実は、この二つの人材像に求められるスキルはほぼ共通しています。
これが、二つの人材像の違いを分かりにくくしているとも言えます。
データサイエンティスト協会が定義している必要スキルをベースに違いを見ていきましょう。
データサイエンティスト協会HPより引用
以下、データサイエンティスト協会のスキルカテゴリをベースに、私の独断と偏見で必要スキル例をリスト化、各人材像とマッピングしたものです。
データサイエンティスト/AIエンジニアのスキルの違いイメージ
◎:特に求められる ○:求められる △:あれば望ましい
カテゴリ | スキル例 | データサイエンティスト | AIエンジニア |
---|---|---|---|
データサイエンス力 | プログラミング(Python,R等) | ○ | ◎ |
機械学習・ディープラーニング | ○ | ◎ | |
統計学 | ○ | △ | |
データエンジニアリング力 | データベース | ○ | ○ |
インフラ(特にクラウド基盤) | ○ | ○ | |
セキュリティ | ○ | ○ | |
ビジネス力 | ビジネスドメイン知識 | ○ | △ |
ビジネスアナリシス | ○ | △ | |
プロジェクトマネジメント | ○ | △ |
この表では、以下が伝われば幸いです。
・どちらも共通的なスキルが求められる
・データサイエンティストは網羅的に一定以上のスキルが求められる
・AIエンジニアは求められるスキルに強弱がある(プログラミング、機械学習など)
年収の違い
次に年収の違いを見ていきましょう。
データサイエンティスト
求人ボックスより引用
AIエンジニア
求人ボックスより引用
何と、平均年収でデータサイエンティストがAIエンジニアよりも150万円も高いと言う結果となりました。
もちろん、あくまで平均値での話です。
しかし、なぜこのような差が生じているのでしょう?
ここも、私なりの考察をお伝えします。
年収の違いの理由1:キャリアの違い
まず一つ目は、データサイエンティストとAIエンジニアの「キャリアの違い」によるものです。
データサイエンティストは「ビジネス課題解決」を行う人材であるため、最終的にはプロジェクトマネージャや、コンサルタントのような職種がゴールになりやすいでしょう。
一方、AIエンジニアは、AI開発を究めたスペシャリストの道を進む傾向がありそうです。
日本において、プロジェクトを指揮するプロジェクトマネージャと、それにメンバーとして参加するプログラマ/エンジニアでは年収が異なります。(根拠を出さずとも明白なので割愛します。)
従ってこれが理由の一つであると考えます。
年収の違いの理由2:年齢・キャリア年数の違い
令和2年の賃金構造基本統計調査によると、各人材像の平均年齢は以下のとおりとなりました。
☑️ データサイエンティスト:42.7歳
☑️ AIエンジニア:40.2歳
AIエンジニアの方が2.5歳若いという結果で、何とも微妙な差ではありますが、年齢と年収の相関の高い日本において、年齢の差も理由の一つと言えるでしょう。
もう少し深堀すると、比較的AIエンジニアの方が若くてキャリア経験の浅い人でもなりやすいこともあります。
繰り返しになりますが、データサイエンティストは「ビジネス課題解決」を行うため、一定のビジネス知識や他者を巻き込むコミュニケーション力、プロジェクトマネジメント力が求められます。
これらは、経験がものを言う世界であるため、一定の経験、年齢を重ねた人の方がデータサイエンティストになるにあたっては優位です。
逆にAIエンジニアとして活躍するための機械学習やディープラーニングなどのスキルは、近年新たに求められるようになったスキルであるため、習得すれば一定の活躍ができます。
従って、ビジネス経験の浅い若手人材にとってもAIエンジニアの方が、より目指しやすいと言えるでしょう。
将来性の違い
私の結論からお伝えすると、将来性が高いのはデータサイエンティストだと考えています。
何によって淘汰されるかというと、「AIエンジニア業務の自動化」の波です。
AIモデルを構築するためのプログラミングは、TensorflowやPytorchなどのライブラリと呼ばれる開発キットによって非常に簡単に出来てしまいます。
ここでは詳しくは触れませんが、興味ある方は調べてみてください。
また、AutoMLと呼ばれる自動化ツールによって、既にプログラミングをほとんど書かなくても、WEB上のシステムを操作しながらAIモデルを構築することが可能です。
Auto MLに関する詳しい記事がありましたので、こちらもご参考まで
これらの自動化の波により、「AI開発」は今後さらにコモディティ化していくと考えられます。
一方、データサイエンティストにとって「AI開発」は「ビジネス課題解決のための手段」にすぎません。従って、どんなにAI開発がコモディティ化されようと、それによって自身のゴールである「ビジネス課題解決」がより効率的となるのであれば、願ったり叶ったりということです。
「ビジネス課題解決」というのは社会にとっての普遍的な価値であることは、疑いようもありませんので、今後人がビジネスを行っていく限り、未来永劫続いていくと考えられます。
以上より、データサイエンティストの方が将来性が高いと言って良いでしょう。
データサイエンティストに関してもっと詳しく解説している記事を作成していますので、こちらも参考にしてください。
これから目指すなら
これまでの話の流れから、私は最終的にはデータサイエンティスト(データサイエンスを活用してビジネス課題解決する人)を目指すことをおすすめします。
しかし、データサイエンティストを目指す過程でAIエンジニアとしての経験を積むというのは良い選択肢だと考えます。
また、AIエンジニアとしてAI開発を究めて突き抜けるというのも選択肢としてはあります。ただこれは非常に高い数学的能力やプログラミングスキルを有する人だけがなれるイバラの道といえます。
これから学び始めたい人向けにおすすめのスクールに関する記事をいくつか紹介させていただきます。
一定のビジネス経験がある方
一定のビジネス経験がある方は、自身のドメイン知識を活かしながら、データサイエンスやAIを学んでデータサイエンティストになる最短ルートを辿るのが良いでしょう。
学生もしくは若手の方
まずは、AIエンジニアとしてデータ・AIプロジェクトに参加し、経験・スキルを積み上げていくと良いでしょう。様々なプロジェクトで実績を上げながらビジネス知識も身につけ、データサイエンティストを目指すもよし、AIエンジニアとして更なる高みを目指すも良しです。
まとめ
最後に本記事のまとめで締めたいと思います。
☑️ データサイエンティストとAIエンジニアの違いは、各々の目指すゴールにある。
☑️ データサイエンティストは「ビジネス課題解決」AIエンジニアは「AI開発」をゴールとする。
☑️ 両者のスキルはほぼ共通であるが、データサイエンティストの方がより網羅的、AIエンジニアは強弱がある。
☑️ 年収はデータサイエンティストの方が高い傾向がある。理由は最終キャリアや年齢が考えられる。
☑️ これから目指すならデータサイエンティストがおすすめ。しかし、AIエンジニアとしてキャリアを積んだ上でデータサイエンティストになるのも良い。
今回は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました!