社内SEの仕事内容・役割とは?組織も解説!【現役社内SEより】

社内SEって何?
どんな仕事するの?
普通(ベンダー側)のSEと何が違うの?

と言う疑問にお答えします。

当記事では、「社内SEの仕事・役割の全体像」をじっくり解説していきます。

そしてさらに働き方をより具体的にイメージして頂くために、社内SEが所属する組織のパターンについても紹介しますので、是非最後までお読み頂ければ幸いです。

私のプロフィールです。
・IT系会社員歴15年
・現役社内SE10年目、大手ヘルスケア企業に勤務
・全社のIT戦略・企画に従事
・ITストラテジスト、プロジェクトマネージャなどのIT資格多数取得
詳しくはこちら

今回は、社内SEに興味を持ってくれてる某ベンダー勤務3年目の勉田晴子(べんだせいこ)さんと対話しながらお伝えしていきます。

こんにちは〜、勉田です。
社内SEのこと色々知りたいです。よろしくお願いします。

勉田さん、今日はよろしくお願いします。
分からないことがあれば何でもきいてくださいね。

それでは、いってみましょう!

社内SEとは

いきなりですが、質問して良いですか?
社内SEって具体的にどんな人達のことなんですか?

はい、社内SEとは、一言でいうと一般事業会社の情報システム部門に所属するスタッフのことです。
日本において、SE(システムエンジニア)の7割は所謂SIer等のベンダー側に所属していると言われています。
事業会社側からするとそれらのSEは外部となる為、対比して社内(情報システム部門)に所属するスタッフを「社内SE」と呼ぶようになったと考えられます。

社内SEとベンダーSEの違い

なるほど〜。では、社外にいるベンダー側のSEと社内SEはどんな所が違うんですか?

はい。
それではまず、ベンダーSEと社内SEの役割の違いを簡単に比較してみましょう.

【ベンダーSEの役割】
ITを活用して、事業会社から委託された範囲の業務・プロジェクト等を成功すること。
【社内SEの役割】
ITを活用して、所属する事業会社に貢献すること。

ベンダーSEの方がよりスコープを絞った形、社内SEの方は一事業会社における責任範囲が広い印象ですね。
私は、ここが本質的な違いであると考えており、この違いから社内SEと外部SEの仕事内容にも違いが出てきます。

それから、もう一点忘れてはならないことがあります。それは多くの事業会社にとってITは本業ではないということです。従って、社内の情報システム部門に多くのリソースを確保することが難しい※ということになります。その中でいかに会社に貢献するかと言うことが重要となります。

※この点は、例外もあります。
EC等のWEB系事業を展開している企業が該当し、これらはITが本業と言っても過言ではありません。
その為、多くのIT技術者を抱え、社内システムを内製しているケースもあります。 
今後多くの事業会社がDXを達成し、ITを本業或いはそれと同等と位置付けて、ITに多くのリソースを投入していくということも十分考えられます。

・社内SEはITを活用して事業会社への貢献が求められる。
・多くの事業会社はITが本業ではない為、限られたリソースの中で仕事を行う必要がある

社内SEの仕事内容

それでは、社内SEの具体的な仕事内容を見ていきましょう。
会社によって細かい分け方や考え方が異なる場合もあると思いますが、大凡以下4つに分類できます。

【社内SEの仕事内容】
IT戦略・企画の立案
②基幹システム等の業務アプリ構築・保守・運用
③サーバ、ネットワーク等のインフラ構築・保守・運用
PC等のユーザサポート、ヘルプデスク

仕事内容自体はなんとなくイメージつくんですが、ベンダー側との違いがまた分からなくなってきました・・・。

確かに、分かりにくいかもしれませんね。ただ、先程にお伝えした「ベンダーSEと社内SEの違い」については覚えていますか?

確か・・・
・社内SEはITを活用して事業会社への貢献が求められる
・多くの事業会社はITが本業ではなく、限られたリソースで仕事を行う必要がある
でしたかね?

そうですね。「限られたリソースの中で事業貢献しないといけない」となると、勉田さんなら、どのようにすれば良いと考えますか?

ええと・・・外部に協力をお願いする?

その通りです!社内SEはITを活用して事業貢献するのが役割ですので、ITの専門家であるベンダーSEの皆さんのお力を借りるんですね。

なるほど~。でも、社外だけじゃなくて社内の人達の協力も得ないといけなそうでですね。 

鋭いですね、仰る通りです!

社内SEは、ベンダSEと比べて当然社内の事業部門の人達と近い立場になり、様々なやりとりや調整事を対応する必要があります。
 
これまでの話を踏まえると以下のようになります。
全ての仕事の末尾に「…に必要な社内外の調整やマネジメント」とつけてみます。
ちょっと冗長な感じになってしまいますが、分かりやすくする為に全部つけてみましょう。

【社内SEの仕事】
IT戦略・企画の立案に必要な社内外の調整やマネジメント
②基幹システム等の業務アプリ構築・保守・運用に必要な社内外の調整やマネジメント
③サーバ、ネットワーク等のインフラ構築・保守・運用に必要な社内外の調整やマネジメント
PC等のユーザサポート、ヘルプデスクに必要な社内外の調整やマネジメント

そうか~!仕事の種類自体はベンダー側とも同じようなものが多いけど、その中で担う具体的な役割が違うということなんですね!

仰る通りです。調整やマネジメントのみであればITの専門知識要らないんでは?と思われる方もいるかもしれませんが、正しくベンダーSEの言っていることを理解したり、協働でプロジェクトを推進していく為には、ITの専門知識は必須です。
 
それから、勿論全てをベンダSE等の外部リソースに頼る訳ではなく、社内で出来る・やるべき範囲のことは自分達でやらなければいけないという前提もお忘れなく。

情報システム部門の成熟度別組織パターン

社内外の調整やマネジメントが主な仕事でそれが機能によって分担されていると言うことで理解しました!
ただ、どの会社もこんな風にきれいにチーム分け出来ているんでしょうか?

良い質問ですね!回答としては「会社によって異なる」となります。
理由は、業種・業態や企業規模等によってITに掛けられるリソース(ヒト・モノ・カネ)が変わる為です。

と言うことで、成熟度レベル別に整理してみましたので、一つずつ見ていきましょう。

☑️①〜④全ての仕事を1名の社内SEが担う
☑️IT専門の組織が存在せず、総務部門などに所属
☑️会社としてITの重要度が高くない、或いは何らかの理由でリソース確保が難しい
☑️中小~中堅企業

☑️複数名の担当者で①〜④IT関連業務を行っているが、機能分担による明確な組織化がされていない
☑️IT専門の組織は存在するが、総務部門の配下や一部として設置されている
☑️レベル1と同様、会社としてITの重要度が高くない、或いは何らかの理由でリソース確保が難しい
☑️中小~中堅企業

☑️②③④が機能別に明確に組織化されている
☑️①は組織化されておらず、②③④の管理職者或いは一部のメンバーが担う
☑️会社としてITが業務基盤だと認識されているが、情報シス部門はあくまでIT専門部隊という位置付け
☑️経営戦略とIT戦略の紐づきは薄い、あるいは限定的
☑️CIO、CDOなどの役職は存在しない
☑️中堅~大企業

☑️①②③④が機能別に明確に組織化されており、必要に応じてさらに細かい機能組織を設置している
☑️ITは業務基盤だけでなく、経営戦略実行に必須機能であると認識されている
☑️経営戦略とIT戦略が明確に紐づいており、それに基づいた施策・取組みが実行されている
☑️CIO、CDOなどの役職が存在する
☑️先進的な企業では、DX推進の組織を設置している
☑️大企業

断っておきますが、私は成熟度レベル4が良くて、それ以外はダメだと言いたい訳ではありません。
前述の通り、多くの事業会社にとってITは本業ではなく、ITの重要度や確保できるリソースは業界・業種によっても大きく異なります。

ここでお伝えしたかったのは、どのレベルの会社の社内SEになるかによって、情報システム部門の位置付けや考え方が変わるということを知って欲しいと言うことです。転職先を探す際は、その点をしっかり見極めた上で行うことをお奨めします。

まとめ

いかがでしたか?

社内SEの仕事内容と働き方のイメージはついたでしょうか?

本記事の内容をまとめていきます。

☑️社内SEとは、事業会社の情報システム部門に所属するスタッフのこと。
☑️限られたリソースの中でITを活用した一事業会社への貢献が求められる。
☑️仕事内容としては大きく4種類に分けられるが、メインは社内外の調整やマネジメントとなる。
☑️会社によって情報シス部門の位置付けが異なり、転職先を探す際はしっかり見極めが必要。

本記事が皆さんの社内SEへの転職に有意義な情報となれば幸いです。

それではまた!