【引く手数多】DX人材になるには?転職事情や年収、将来性は?

DX人材ってどんな人材?なるにはどうすれば良い?転職事情や年収、将来性が気になる。

今や、ニュースで聞かない日がないくらい盛り上がりを見せているDX。それを担うDX人材にも当然注目が集まります。

しかし、そのDX人材について明確に理解し説明できる人はまだ多くないでしょう。

そこで、現在事業会社でDXプロジェクト推進兼DX人材育成を2年以上担っている私から、DX人材の全てをお伝えしていきたいと思います。

DX人材を目指している、興味を持っている方には非常に有益な情報かつモチベーションの高まる内容となっていますので、是非最後までお読みください。

【記事を書いた人】

☑️ 事業会社にてDX推進兼DX人材育成を担当2年以上

☑️ JDLA G検定E資格を取得済

☑️ DX検定にてDXプロフェッショナルに認定

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DXとは

定義

DXはDigital Transformationの略で、様々な定義がありますが、当記事では、日本において最も代表的な経済産業省の定義に沿ってお伝えします。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

経済産業省 DX推進ガイドライン より引用

要するに、データとデジタル技術を使ってビジネスを変えていこう!ということですね。

代表事例

では、日本ではどんな企業が実際にDXを実現しているのでしょう?

つい先日発表されたDX銘柄2022を元に数社ピックアップして紹介していきます。

業種 企業名 DX事例概要(ピックアップ)
医薬品 中外製薬 AIを活用した革新的創薬の実現
小売業 日本瓦斯 メタバースとAIを活用したエネルギー最適化によるスマートシティの実現
建設業 清水建設 時間と場所を 選ばないNN時代の新しい働き方を実現するネットワーク型ワークフィールド「SHIMZ Creative Field® 事業」
食料品 サントリー食品インターナショナル 高度情報化モデルを構築・導入した新工場「サントリー天然水北アルプス信濃の森工場」
化学 富士フィルムホールディングス AI技術を活用した健診センター 「NURA」をインドのベンガルールに開設

多種多様な業種で取り組まれているのが分かりますね。
利用技術としては、やはりAIの事例が多くなっています。
しかしポイントは、各社デジタル技術によって新たな事業・サービスを創出したり、現行ビジネスを抜本的に変革しようとしていることです。

DXの全体像からしっかり学びたいという方は以下の講座を活用いただくのも良いでしょう。

DX人材とは

AIの事例が多いってことは、やっぱりAIエンジニアとかデータサイエンティストのことを指しているのかな?

勿論、それらも含まれますが、実はDX人材にもいくつかの種類(類型)が定義されています。

こちらも様々な定義がありますが、代表となるIPA(情報処理推進機構)のもので見ていきましょう。

人材の呼称(人材像) 定義
プロダクトマネージャー DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材
ビジネスデザイナー DXやデジタルビジネス(マーケティング含む)の企画・立案・推進等を担う人材
テックリード(エンジニアリングマネージャ、アーキテクト) DXやデジタルビジネスに関するシステムの設計から実装ができる人材
データサイエンティスト 事業・業務に精通したデータ解析・分析ができる人材
先端技術エンジニア 機械学習、ブロックチェーンなどの先進的なデジタル技術を担う人材
UI/UXデザイナー DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材
エンジニア/プログラマー システムの実装やインフラ構築・ 保守等を担う人材

IPA資料を元に抜粋

詳しくは、後述の「〇〇になるには」にて解説します。

転職事情と年収

このようなDX人材、実際に転職市場ではどれくらい募集されているのでしょうか?

そこで、転職サイト最大手のdodaを利用して、完全独自に調査を行なってみました。

具体的には、各人材呼称※をキーワード検索した際の求人数と、その中で年収1000万円以上を含む求人数を調べました。

DX人材呼称 求人数 年収1000万円以上を含む求人数 備考
プロダクトマネージャー 834 507  
ビジネスデザイナー 742 306 ビジネスデザイナーは一般的でないため、職種「DX推進」で検索
テックリード 465 268  
データサイエンティスト 1040 541  
先端技術エンジニア 198 78 職種「AIエンジニア」「IoTエンジニア」「ブロックチェーン」で検索
UI/UXデザイナー 360 143  
エンジニア/プログラマー 1389 665 職種「DX エンジニア」で検索

簡易的な調査なので、あくまで参考レベルとしてくださいね。

今回調べた各DX人材の求人数の約40%以上が年収1000万以上を目指せるポジションとなっています。

年収1000万以上というのは、全労働者の5%と言われていますので、DX人材を目指すだけで、その5%に入れる確率がぐんと上がるという事ですね。

実際の各人材の求人情報も見ていきましょう。

事業会社のDX関連の求人でピックアップしてみました。

プロダクトマネージャ

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dodaより引用

ビジネスデザイナー(DX企画推進担当者)

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dodaより引用

テックリード

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dodaより引用

データサイエンティスト

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dodaより引用

AIエンジニア(先端技術エンジニア)

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dodaより引用

UI/UXデザイナー

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dodaより引用

エンジニア/プログラマー

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dodaより引用

さらに言うと、転職サイトに公開されている求人情報は、非公開求人を含めた全体のたった1/10と言われていますので、実際は、はるかに多くの求人や高年収ポジションがあると考えられます。

その非公開求人も見たい!早速転職活動したい!という方は早速以下からエージェントサービスを利用するのも良いでしょう。

DX人材として転職を考えたい人はこちら(DODAエージェントサービス)

DX人材になるには

それでは、DX人材になるために必要なスキルやキャリアステップを解説していきましょう。

共通的に求められるマインド・スタンス

2022年3月に、経済産業省にてDXリテラシー標準なるものが策定されました。

これは、DXを推進する人材だけでなく全てのビジネスパーソンを対象にDXの自分事化を促進するために策定されたものです。

その中でもDX人材に共通的に求められる「マインド・スタンス」について取り上げてお伝えします。

DXリテラシー標準では以下のように定義されています。

☑️ デザイン思考/アジャイルな働き方
 顧客・ユーザーへの共感、 常識にとらわれない発想、 反復的なアプローチ

☑️ 新たな価値を生み出す基礎としてのマインド・スタンス
 変化への適応、 コラボレーション、 柔軟な意思決定、 事実に基づく判断

「正解の無い中で自分なりに考え、失敗を恐れず周りを巻き込みながら、新たな価値創出に向かって、粘り強く推進できる人」という感じでしょうか。
要するにマンガの主人公みたいな人ですね。

マインド・スタンスと言うと先天的な才能のように思われるかもしれません。

しかし、デザイン思考やアジャイルは学んで実践すること身に付くスキルとも言えるものです。

DXを推進している企業の研修体系には、必ずと言って良いほどデザイン思考やアジャイルが含まれています。(勿論私の現職でも)

早速学んでみたい!という方は以下の講座がおすすめです。

共通的なマインド・スタンスが分かった所で、次のパートからは各人材像になるための効率的なステップについて解説していきましょう。

ビジネス職の方向けとなっていますが、IT職の方も現在のご自身の経験やスキルと照らし合わしながら読んでみてください。

エンジニア/プログラマになるには

エンジニア/プログラマは「システムの実装やインフラ構築・ 保守等を担う人材」です。

基本的に、未経験からでも半年程度のIT全般スキル・プログラミング学習で、エンジニア/プログラマになることが可能です。

最も手っ取り早いのは、転職サポート付きのプログラミングスクールで集中的に学んで転職することです。

一定の費用はかかりますが、最近では給付金を貰えるスクールも多数あり、働きながら学べます。

興味のある方は、以下を参考にご自身に合うスクールを探してみてください。

UI/UXデザイナーになるには

UI/UXデザイナーは「DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材」です。

UXデザインとは、そのサービスを利用したユーザの体験をデザインする事であり、それはサービスの価値そのものを設計することです。

従って、UI/UXデザイナーの腕次第では、そのサービスのユーザー満足度ひいてはその後の成長を左右することになるのです。

以上より、IT関連が全くの未経験からUI/UXデザイナーになるというのは至難の業です。

キャリアのステップとしては、

エンジニア/プログラマー ⇨ UI/UX デザイナー 

がおすすめです。

まだエンジニアのキャリアが無い方は、先にエンジニアになって3年程度(目安)のキャリアを積みましょう。

デジタルサービス等によるUX(ユーザ体験)を設計するためには、実際に自分で動くシステムを作るという経験が非常に重要であるためです。

今すぐUI/UXデザインについて学びたい方は、以下を参考にしてみてください。

先端技術エンジニアになるには

先端技術エンジニアとは「機械学習、ブロックチェーンなどの先進的なデジタル技術を担う人材」です。

先端技術と言っても様々ありますが、直近の学習環境の充実度から、AI(機械学習)エンジニアがおすすめです。

先に解説したエンジニア/プログラマと同様に、未経験からでも機械学習の理論やプログラミングを学習することで、AIエンジニアになることが可能です。

転職サポート付きAI系プログラミングスクールで学んで転職しましょう。

通常のアプリケーション開発系のプログラミングスクールと同様に、AI系スクールでも給付金を受け取ることができるところが多くあります。興味のある方は以下をご参考にしてみてください。

データサイエンティスト

データサイエンティストは「事業・業務に精通したデータ解析・分析ができる人材」です。

この定義だと、ビジネスに詳しい人がデータ解析を学べばすぐになれそうに見えますね。

しかし、実際はデータサイエンティストには非常に幅広いスキルが求められます。

詳細は、データサイエンティストの仕事内容や必要スキルに関する記事を作成していますので、こちらも参考にしてください。

一定のビジネスドメイン知識のある方を前提としますが、キャリアのステップとしては、

AIエンジニア⇨データサイエンティスト

が望ましいと思います。

AIエンジニアのプログラミングや機械学習モデルのスキルはそのままデータサイエンティストでも活かせるためです。

未経験からデータサイエンティストになるための育成スクールもありますので、こちらもご参考まで。

テックリードになるには

テックリードとは「DXやデジタルビジネスに関するシステムの設計から実装ができる人材」です。

エンジニアリングマネージャーや、アーキテクトとも呼ばれます。

まさに、エンジニア/プログラマーのキャリアの次のステップの王道と位置付けられ、エンジニア組織のリーダーを想像すれば良いでしょう。

従って、

エンジニア/プログラマ ⇨ テックリード

というステップが必然です。

ただし、テックリードは、幅広いITスキルや設計スキルだけでなく、エンジニアをまとめるマネジメント力も求められるため、簡単になれるものではありません。

5年程度以上のエンジニア/プログラマーとしてのキャリアを積む必要があるでしょう。

ITスキルでは、特にクラウド(AWS)やDevOps、モダンアーキテクチャ(マイクロサービスアーキテクチャなど)は必ず押さえておきましょう。

ビジネスデザイナーになるには

ビジネスデザイナーは「DXやデジタルビジネス(マーケティング含む)の企画・立案・推進等を担う人材」です。

DX企画推進担当や、ビジネス系DX人材などと呼ばれることもあります。

自身のビジネスドメインに精通しながら、最低限のIT・デジタルのスキルを有し、変革のための課題抽出からそれを達成していくためのあらゆる活動を担います。

ビジネスデザイナーになるには、まずは以下のようなスキルを習得するのが良いでしょう。

私の現職でも、このビジネスデザイナーにあたる人材を最重要育成ターゲットと設定しています。

それは、このような人材がいないことにはDXのプロジェクト自体が発足しないからです。

特に、これからDXを本格的に開始していこうという組織は、どんな所でも最重要と言って良いでしょう。

実際にIPAの資料においても、プロダクトマネージャー、ビジネスデザイナーを重要と位置付けている企業が最も多いです。

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IPA資料より引用

ビジネスデザイナーになるためには、以下のようなスキルを習得するのが望ましいでしょう。

1. DXに必要な考え方(デザイン思考など)

2. DXプロジェクトの進め方(アジャイル、プロジェクトマネジメントなど)

3. 最低限のデジタル・ITリテラシー

1, 2 は先に説明しましたが、ここでは 3. 最低限のデジタル・ITリテラシーの習得方法を紹介します。

IPAや経産省が主導でデジタルリテラシー協議会を発足しており、そこでは全てのビジネスパーソンが共通的に身につけるべきデジタルリテラシーとして「ITパスポート試験」「G検定」「データサイエンティスト検定」を挙げています。

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デジタルリテラシー協議会HPより引用
試験・検定名 概要
ITパスポート試験 ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。
G検定 ディープラーニングを活用したプロジェクトに関わるすベての人(ジェネラリスト)向けの検定です。プロジェクトの検討・企画・推進のために必要な、実践要素を含むリテラシー習得に関する試験になっています。
データサイエンティスト検定 リテラシーレベル アシスタント・データサイエンティスト(見習いレベル:★)と数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムが公開している数理・データサイエンス・AI(リテラシーレベル)におけるモデルカリキュラムを総合し、実務能力と知識を有することを証明する試験です。

各試験に対応した学習講座(DS検定は書籍)がありますので、参考にしてください。

データサイエンティスト検定テキスト&問題集

どんな順番で受験するのが良いの?

IT未経験の方は、この順番がベストです。
1. ITパスポート:まずはデジタル・IT全般を広く習得
2. G検定:デジタル分野のAIの基本を習得
3. データサイエンティスト検定:1,2で得た知識を活かしてデータ分析の基本を習得

全くの未経験なのに、これから三つも資格のための学習するのは辛いな・・・

そのような方のために、手っ取り早くDXの企画推進者(ビジネスデザイナー)に必要な知識を体系的に学べる講座があります。コチラもご参考まで。
>Aidemy Premium 組織を変えるDX講座

プロダクトマネージャになるには

プロダクトマネージャは「DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材」です。

言わば、会社全体のDXを担う花形と言える人材です。

ビジネスデザイナーとして活躍後、組織のリーダーとして携わるのがプロダクトマネージャです。

ここまでくると、もはや経験と実践がモノを言う世界となりますが、所謂プロダクトマネジメントやDX戦略策定のための考え方などは体系的に学んでおいても良いでしょう。

将来性

結論から言うと、DX人材の将来性は、ほぼ約束されていると言って良いでしょう。

以下の通り、2030年には先端IT人材(≒DX人材)が約54万5千人不足すると予想されています。

それだけ希少価値の高い人材となるわけですから、どのような業種・業界においても求められる人材となる事でしょう。

みずほ情報総研資料を元に作成

上記グラフの右下の薄い青の箇所に注目すると、「従来型IT人材」は約9万7千人余ると言う試算となっており、興味深いです。
現在ITエンジニアとして仕事をしていても、DXのような新たな価値創出に貢献できないと余ってしまう可能性がありそうですね。

悩むくらいならすぐ行動を

ここまで、DX人材の概要やその転職事情と年収、各人材像を目指すための学習方法やステップ、将来性について解説してきました。

デジタルやITなんて自分には関係ない

これまで、そのように思っていた方もいたと思いますが、今やそうも言っていられない状況です。

少なくとも、DXリテラシーは全てのビジネスパーソンに必須と言われる時代となりました。

今後のキャリアを悩むくらいなら、まずご自身で始めやすいところから学んでみることをおすすめします。

最後に、私が強く共感したDX人材に関する書籍を紹介して本記事を締めたいと思います。

主にビジネスデザイナー(DX企画推進者)の重要性について解説している内容となっています。現在ITに携わっていない方にも非常に読みやすい内容となっておりますので、ビジネス職の方におすすめです。

本記事が皆さんのキャリア形成に少しでもお役に立てば幸いです。

今回は以上です。